「京都アニメーション」のスタジオに放火し、社員36人を殺害したなどとして1審で死刑判決が言い渡された青葉真司被告(46)本人が、27日付けで控訴を取り下げたことを大阪高等裁判所が明らかにしました。これにより裁判は終了し、被告の死刑が確定しました。
青葉真司被告(46)は、6年前の2019年7月、京都市伏見区の「京都アニメーション」の第1スタジオに火をつけ、社員36人を殺害し、32人に重軽傷を負わせたなどとして殺人や放火などの罪に問われました。裁判では、物事の善悪を判断する責任能力の有無が争われ、2024年1月、1審の京都地方裁判所は、責任能力があったと認めたうえで「36人もの尊い命が奪われたことはあまりにも重大で悲惨だ」などとして、死刑判決を言い渡しました。青葉被告は「精神鑑定ですべて妄想だとされたことについて、発信したいことがあった」などとして控訴していましたが、1月27日付けで本人が控訴を取り下げたことを大阪高等裁判所が明らかにしました。これにより裁判は終了し、青葉被告の死刑が確定しました。
死刑判決に対する被告本人の控訴の取り下げをめぐっては、過去に被告の弁護士が無効だと申し立て、取り下げの有効性が裁判所で改めて審理されたケースもあり、青葉被告の弁護士の対応が焦点になります。
事件で亡くなった男性アニメーターの父親は「取り下げの理由は被告本人にしか分からないが、遺族としては、36人の命を奪ったことに彼なりに責任を感じ、謝罪したいという気持ちで取り下げたと受け止めています」と話しました。
そのうえで「一人ひとりの命はかけがえのないものであって、被告1人の命で償えるものではないと思う。同じような事件が二度と起きないように、私たち遺族のような思いをする人がもう出てこないように、社会全体で対策を考えていってほしい」としています。
京都アニメーションの代理人の桶田大介弁護士は、NHKの取材に対し「控訴が取り下げられた旨は会社としても承知しております。ただ、状況が定まらないうちはコメントは差し控えさせていただきます」としています。