トランプ次期米大統領は2期目就任式前日の19日夜、「明日正午、4年間にわたる米国の衰退に幕が引かれ、米国の強さと繁栄、尊厳と誇りの新たな1日が始まる」と宣言した。
トランプ氏は首都ワシントン中心部のキャピタル・ワン・アリーナでの集会で、「われわれはワシントンの失敗し腐敗した既成政治勢力の支配を完全に終わらせるのだ」と語った。
米大統領就任式前夜に開いたキャピタル・ワン・アリーナでの集会で演説するトランプ氏(1月19日)
4年前に議会議事堂襲撃事件などで四面楚歌(そか)の状態でホワイトハウスを去ったトランプ氏にとって、今回のイベントはウイニングランのような意味合いを持つ。
イベントではミュージシャンのキッド・ロック、俳優のジョン・ボイト、総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の最高経営責任者(CEO)、ダナ・ホワイトの各氏がパフォーマンスやスピーチを行った。イーロン・マスク氏はトランプ氏と共にステージに上がった。
マスク氏は「今後重要になるのは実際に大きな改革を行うことだ」と発言。「われわれにこうした改革を提起させていただきたい。そうすれば米国が今後100年、いや数世紀、永遠に強くなるための基盤を築くことができる」と語った。
就任式前日に次期大統領がこのような大規模イベントを開催するのは異例だ。しかしトランプ氏は以前から派手なイベントを好み、集会を利用してメディアの注目を集め、支持者を活気づけてきた。
TikTok
中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」はこの日、トランプ氏がTikTok禁止法の施行を延期する意向を表明したことを受けサービスを再開したが、トランプ氏は集会でこの決定を称賛。「本日をもってTikTokは復活する!」と述べた。
しかしトランプ氏は以前に公約した「合弁会社」について、TikTok親会社の字節跳動(バイトダンス)と米国のパートナー企業による合弁ではなく、米企業と米国政府の共同所有になる可能性を示唆した。トランプ氏の政権移行チームにこの件に関する説明を求めたがすぐに返答はなかった。
トランプ氏は「承認すると言ったが、TikTokの50%は米国の所有にしようではないか」とし、「私は米国を代表して承認する。すなわち彼らは米国というパートナーを持つだろう。そして多くの入札者が現れるだろう」と語った。
同氏はさらに、政府が資金を出すわけではないため、納税者にとってリスクとはならないと述べた。
キャピタル・ワン・アリーナの集会で旗を掲げる人(1月19日)
「巨額投資」
トランプ氏は、アップルのティム・クックCEOと19日に話し合ったことを明らかにした。トランプ氏は、TikTokが話題になったかどうかについては触れなかったが、クック氏が「われわれの選挙での大勝利を理由に米国で巨額の投資を行う」ことを約束したと語った。アップルの担当者にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
トランプ氏は就任初日に多数の大統領令に署名するとあらためて述べ、「世界がこれまでに目にしたこともない、かつてなく積極的かつ抜本的な国境回復の取り組み」を示すとした。 そして「われわれは歴代米国大統領で最高の就任初日、最も偉大な1週間、そして最も非凡な最初の100日間にするつもりだ」と語った。
トランプ氏は「誰もが喜んでいる。長い時間がかかった」と述べ、「われわれの大義に賛同する何百万の勤勉な市民やあなた方がいなければ、このようなことは実現できなかった」とキャピタル・ワン・アリーナに集まった聴衆に呼びかけた。
トランプ氏は20日もキャピタル・ワン・アリーナを訪れる予定。就任式が行われる20日は首都ワシントンで厳しい寒さと降雪が予想されているため、宣誓式および就任演説は米議会議事堂内で行われ、就任パレードの場所も同アリーナに変更された。
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TikTok、サービス再開-トランプ氏による禁止法施行の延期表明直後
原題:Trump Tells Inauguration Eve Rally ‘American Decline’ to End (1)(抜粋)