ワシントンの旅客機事故で消防当局「生存者いない」…28人の死亡確認

【ワシントン=淵上隆悠】米国の首都ワシントン近郊にあるレーガン・ナショナル空港付近で29日午後9時(日本時間30日午前11時)頃、アメリカン航空の旅客機と米軍ヘリが衝突し、両機ともポトマック川に墜落した。消防当局は28人の死亡を確認し、生存者はいないとの見解を示した。NBCニュースは30人以上の遺体が発見されたと報じた。

アメリカン航空機はカンザス州ウィチタ発ワシントン行きの5342便(ボンバルディアCRJ700型機)で、乗客60人と乗員4人が搭乗していた。米軍ヘリはUH60ブラックホークで、3人が搭乗していた。消防当局の責任者は30日午前、「現時点で、この事故による生存者はいないと思う」と語った。

米軍ヘリとの衝突事故現場付近でアメリカン航空機の残骸(30日、ワシントンDC近郊のポトマック川で)=ロイター

米国フィギュアスケート協会は、ウィチタで開かれた大会に参加した選手やコーチらが搭乗していたと明らかにした。在米日本大使館は、旅客機に日本人が搭乗していたかどうかの確認を急いでいる。

連邦航空局(FAA)によると、旅客機はアメリカン航空グループ会社のPSA航空が運航していた。着陸のためにポトマック川沿いを北上し、空港滑走路に接近していたところで南下してきたヘリと衝突した。

米メディアが流した事故当時の映像では、下降する旅客機とみられる光にヘリとみられる小さな光が近づき、重なった瞬間に大きくオレンジ色に発光した。陸軍報道官は、ヘリが空港から約20キロ離れたバージニア州の軍施設フォート・ベルボアに所属していると明らかにした。国防総省によると、ヘリは訓練飛行中だった。

連邦捜査局(FBI)は犯罪やテロを示す証拠はないと説明している。

アメリカン航空の旅客機とヘリの衝突事故の影響で、全ての航空機の離着陸が中止となっていることを知らせる案内(30日午前3時32分、ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港で)=冨山優介撮影

空港はワシントンからポトマック川を渡ったバージニア州側にあり、ホワイトハウスから南に約6キロ・メートル離れている。事故を受け、空港では航空機の離着陸が30日午前11時まで停止された。

トランプ大統領は30日未明、自身のSNSで「なぜヘリは上昇も下降も旋回もしなかったのか。管制塔はどうしてヘリにすべきことを伝えなかったのか。この悪い状況は防げたはずだ」と述べた。

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