中居正広さんとBBQパーティーに参加していたことを明かしたヒロミ
1月27日にフジテレビが行った「やり直し会見」は10時間23分に及んだ。元タレントの中居正広さん(52)が起こした女性トラブルとフジテレビ社員の関係について、解明すべき事実は多々あるが、根本的な疑問は、女性は中居さんとどういう形で知り合い、なぜトラブル当日に中居さんの自宅を訪れることになったのか、ということだ。その“伏線”は、2023年5月に中居さんの自宅で開催されたバーベキューパーティー(以下BBQパーティー)にある。AERA dot.はBBQパーティーに参加していたことを明かしたタレントのヒロミに改めてインタビューを敢行し、パーティー当日に起こった詳細を聞いた。
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記者会見の冒頭、司会のフジテレビ・上野陽一広報局長はBBQパーティーの内容についてこう説明した。
「23年5月、社員Aが中居氏宅で行われたBBQに女性を誘い、接待要員のように扱って参加したとされています。これについては社員Aの聞き取りの結果、社員Aが女性に声をかけて、中居氏の所有するマンションでBBQに参加したことが確認されました。参加者は中居氏を含む10人ほどだったとのことです。中居氏も弊社の聞き取りで、BBQの存在を認めていますが、女性とどんなやりとりをしたのか等、現時点では詳細を確認できておりません。従って、報道にあるように問題の食事会がこのBBQの延長線上にあるまでは評価するに至っておりません」
フジテレビ側が冒頭であえてBBQパーティーに言及したのは、被害女性のX子さんがトラブル当日に中居さんの自宅を訪れることになる“伏線”であるからに他ならない。というのも、フジテレビ側はトラブル当日に同社社員のA氏が関わった事実はない、と否定していた。にもかからず、X子さんが中居さんの自宅に向かったのであれば、中居さんとX子さんは直接連絡を取り合える関係だったことになる。なぜ、そんなことが可能なのか。中居さんとX子さんはいつどんな形で出会い、連絡先を交換するまでになったのか。
そこで記者は港社長にこう質問した。
――A氏は当日の食事会には関与していないとのことですが、その前月(23年5月)に中居さんの自宅でBBQパーティーをやっており、それはA氏が設定して被害女性も出席していたということです。それが初回なのでしょうか。それ以前も、A氏が設定する中居さんとの懇親会に被害女性が出席したことはあったのでしょうか。
港社長 中居氏と女性は仕事の場で面識がありました。そこはAも関係なく、そういうような面識があるという間柄です。そこから、Aが声をかけてそういう集まりみたいなことに参加をしたことはあったと思います。最初からAが関与していたということではないと考えています。
1月27日の記者会見に登壇したフジテレビの港浩一社長(撮影/上田耕司)
■BBQパーティーの「二次会」で起きたこと
――A氏が設定する会に複数回出席していたということですか。
港社長 複数回、Aが設定した会に女性が中居氏と一緒にいたということは回数等を含めて、私は認識していません。ただし、週刊誌報道で知るようなことはあったのかと思いますが、回数とかまでは私はわかりません。
――中居さんの自宅でBBQパーティーを開いていたということは、特定日のトラブルの伏線になっていたとお考えになりませんか。
港社長 そこは私はわからないです。
――わからないというのは?
港社長 特定日のトラブルの伏線になるのがそのBBQパーティーだったのかどうかということは、私にはちょっとわからないです。
――複数回という中で、中居さんの自宅でというのは何回くらいあるのですか。
港社長 わかりません。私はこれも話をよく聞いたわけではありませんから、そういう報道があったようだという認識ですから。それが複数回なのかどうかはわかりません。
――Aさんと中居さんは、たびたび中居さんの自宅で芸能関係者等を招いてパーティーをやっていたのでしょうか?
港社長 わかりません。
BBQパーティーについては「週刊文春 電子版」の記事で、X子さんの証言も交えて詳細に報じられている。会見では質問は2問までと制限されていたので、BBQ当日のことまでは聞けなかったが、その後、ニュースサイト「ENCOUNT」の記者が踏み込んで質問をした。
――――先ほど、港社長が女性がAさんに紹介される前に(中居氏と)知り合っていたという趣旨の発言をされていますが、(1月)25日更新の週刊文春のデジタル版には、BBQの日の夜に(参加者が)たくさん帰った後、Aさん、中居さん、女性の3人だけがおすし屋さんに行ったと。そこで(中居さんと女性が)電話番号を初めて交換した。せざるを得ない状況だったという趣旨のことが報道されています。そのへんは把握されていますか?
港社長 いえ、今、初めて知りました。
――その後の展開が事件当日につながってくるようなことが書いてあるんですが、そのへんのことは調査の段階でも全然把握されていないということですね?
港社長 そうですね。
フジテレビ側はBBQパーティーについてA氏が声をかけてX子さんが参加したことまでは認めているが、そこでどんなやりとりがあったかまではわからない、という主張だった。だが「週刊文春 電子版」の記事のようにBBQパーティーの“二次会”でA氏が介在する形で中居さんとX子さんが電話番号を交換したのだとすれば、これはトラブルを誘因する伏線となった可能性は高いだろう。さらに同記事では、BBQパーティーにはタレントのヒロミや笑福亭鶴瓶も同席していたとされていることから、彼らが“真相”を知っているのでは、ともささやかれていた。
■BBQに「(フジテレビの)Aさんがいたのはわかりました」
そんな中、AERA dot.がヒロミ本人にBBQパーティーについて取材を申し込むと、本人が電話でインタビューに応じた。
「中居とBBQパーティーをやったのは記憶にはあったんですけど、中居の問題が出た時に、あの時のBBQのことだったと知って、本当にびっくりしました。中居はLINEをやっていないって言っていたので、(連絡は)ショートメールでやりとりをしていました。だからショートメールが残っているかなと思って探したら、残っていたんですよ。今こうやってしゃべれているのは、それが残っているからなんです」
BBQパーティーが開かれたのは23年5月31日だったとのこと。その日は本来ならゴルフをする予定だった。
「でも前日の時点で、雨だし、笑福亭鶴瓶さんもギックリ腰だし、ゴルフは中止になりました。そこで、中居が『せっかくの休みだし、BBQやりたい、やりませんか』と言い出したんです。場所はどうしようかとなった時、中居から『じゃあ、うちでやりましょう』というメールがありました」
そしてヒロミは当日、中居の自宅に向かった。
「マンションの最上階だったかな。ベランダと言っていたから、そこでBBQなんかできるのかなと思っていたんだけど、行ったら本当に広いんですよ。10人くらい立っていても、平気なくらいのベランダで、そこでBBQをやりました。べー(鶴瓶)さんは、腰も痛いから座っていました。お酒も出たけど、僕は全然飲まなかった。ベーさんもたぶん、あんまり飲んでなかったと思う」
当日集まったのはフジテレビの社員やスタッフ、他局のテレビ局のスタッフら約10人。ヒロミが見たことのある顔ぶれもいたという。そこには、現在は朝の情報番組に出演している女性アナウンサーもいた。
「テレビで見たことがあったから、『頑張ってね』というくらいの会話はあったと思います。その他にも女性の方が何人かいたけど、それがアナウンサーなのか、女性スタッフなのかはわからなかった」
X子さんも参加していたとされるが、ヒロミは気づかなかったという。
「その人(X子さん)の顔写真を見ても、本当にこの人いたなっていう記憶が、申し訳ないけど、ないくらい。僕は20代の女性と話すのはあまり得意ではなく、話すタイプでもない。だから、申し訳ないけど、何も記憶にないというか、本当に覚えてないんです」
一方、フジテレビ社員のA氏はもともとバラエティー番組のプロデューサーだったことから、ヒロミも認識していたという。
「Aさんがいたのはわかりました。Aさんのことは知っていますし、どういう人かもわかります。でも、すごく付き合いが深いかっていうと、そんなこともない。歳も僕よりずいぶん下ですし、僕はフジテレビでここ何年かはほぼ仕事をしていない。Aさんと顔を合わせて、『どうも』とあいさつした程度でした。彼がプロデューサーだから偉いとかも思っていません。一緒に仕事もしていないですし、中居と同世代の子たちなので。BBQはAさんが中心というよりも、普通に中居がやりたいから、中居が知り合いを呼んだ感じですね」
■中居氏との会食は「女性を伴ったことはない」
ヒロミからみた中居さんの素顔とはどういうものなのか。
「あなたがテレビで見ている中居と、僕が接している中居はほぼ変わらないと思います。プライベートもあんな感じです。僕のほうが歳上なので、彼は僕の前では後輩という感じで接しています。中居とプライベートで食事に行くのは、番組終わりに行く程度ですよ。あとはSMAPの解散時に、2人で飯を食ったりしたことはあります。飲む時でも、女性を伴っていたことはありません。中居に『お前、彼女いるのか』とか、そういう個人的な話をしたこともないんです。面倒くさいし、別にそんなことに興味もないので。中居はたぶん、そんなに人と食事に行くタイプではないと思うんですよね。だから、僕とも食事に行ったのなんて数えるほどしかないんです」
前述のように、週刊文春 電子版ではこのBBQパーティーの「二次会」で中居さんとX子さんが連絡先を交換したと報じている。それについてヒロミはこう答える。
「BBQは昼間からやって、夕方になって寒くなってきたので、べーさんに『もう、俺、帰りますよ』と言ったら、ベーさんも『帰る』っていうんで、2人とも帰ったんです」
それゆえ、残った参加者が何をやっていたのかは全く知らないという。そして、最後に力を込めてこう語る。
「僕はただBBQへ行っただけ。それが何か悪かったかのような感じになっているのは信じられないし、別に、その後で中居とBBQについて話をしたこともなかった。今こうしてお答えしているのは、僕には何もやましいことがないからです。でも本当にすごいことになってしまった。だからこそ、僕もちゃんと説明をしなきゃいけないと思っています」
週刊文春は28日、これまでの報道の一部を訂正した。トラブルがあった当日の会食について、当初は「フジ編成幹部A氏に誘われた」としていたが、その後の取材で「中居氏に誘われた」と判明したとし、訂正し謝罪した。ただし、女性が「A氏がセッティングしている会の“延長”だったことは間違いない」と証言したことなどから「トラブルに関与した事実は変わらない」としている。
トラブルに至った経緯もまた、解明されるべき重要な事実のひとつである。その点で、ヒロミの証言もまた貴重なものだろう。
(AERA dot.編集部・上田耕司)