埼玉県八潮市で28日に県道が陥没しトラックが転落した事故では、下水管の破損で約120万人に洗濯や風呂の利用制限が呼びかけられるなど、生活への影響が広がっている。現場周辺でも地中のガス管が破損する恐れがあるとして約200世帯に避難勧告が出され、近隣住民からは「いつまでこの状況が続くのか」と不安の声が上がった。
陥没の原因とみられている破損した下水管がふさがり、汚水があふれる恐れがあるとして、県は28日夜から、上流域の12市町に水道の利用制限を呼びかけた。
道路の陥没内を確認する作業員ら(29日午後4時13分、埼玉県八潮市で)=野口哲司撮影
八潮市内でレストランを営む池島千佳子さん(72)は、床掃除を控え皿をまとめて洗ったが、30日以降は使い捨ての皿で料理を提供するという。「この状況が続くようなら、営業できなくなる」と困った様子だった。
現場近くの会社員平井克治さん(55)も、28日の夜は風呂を控え、体を拭くシートで我慢したといい「少しでも協力しなければいけないし、仕方がない」と話した。
対象になった白岡市では「風呂の水を流しても大丈夫か」などの問い合わせが相次ぎ、「2日に1度に減らすなど可能な範囲で控えてほしい」と伝えているという。
道路が陥没した現場周辺(29日午前、埼玉県八潮市で、読売ヘリから)=鈴木毅彦撮影
陥没現場周辺では29日午前3時頃、地中のガス管が破損してガスが漏れる可能性があるとして、市などが半径200メートルの約200世帯に避難を呼びかけ、住民は市役所などで眠れぬ一夜を過ごした。
近くに住む竹内八重子さん(81)は「また陥没するかもしれないし、ガスも怖いので帰れない」と声を震わせ、会社員野口賢二さん(58)も「会社は休みにした。早く家に戻りたい」と疲れ切った様子で話した。
国土交通省は29日、下水道を管理する全国の自治体に緊急点検を要請した。報告期限は2月7日。
対象は、今回の事故現場のように被害が拡大する可能性のある、大規模な下水処理場に接続し、口径が2メートル以上の大型下水道管。
陥没を引き起こすような腐食や損傷がないか、直接目視したり、カメラを使ったりして確認するよう求めている。