横綱昇進の伝達式を終え、記者会見で笑顔を見せる豊昇龍(右)と立浪親方=東京都台東区の立浪部屋
日本相撲協会は29日、大相撲春場所(3月9日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議と臨時理事会で、豊昇龍(25)=本名スガラグチャー・ビャンバスレン、立浪部屋=の第74代横綱昇進を決めた。モンゴル出身の横綱は叔父の元朝青龍らに次いで6人目。
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伝達式の口上に1年半前の大関昇進時と同じ「気魄一閃(きはくいっせん)」を織り込んだ。後援者が考えてくれた複数の案を師匠の立浪親方(元小結旭豊)から見せられたが、豊昇龍は「気魄一閃」にすると即答したという。会見では、この4文字に込めた「何が起きても力強く立ち向かっていく」との思いで今後も精進していくことを誓った。
入門から7年。比較され続けた叔父の元朝青龍、ドルゴルスレン・ダグワドルジさんと番付で肩を並べた。2人は1年近く疎遠だったが、双方を知る関係者が間を取り持ち、28日に豊昇龍からダグワドルジさんに電話を入れた。「よくやったな。協会の看板力士なんだからしっかり考えていきなさい」と激励され、「うれしかった」という。
豊昇龍は昨年秋場所が8勝、九州場所は13勝の優勝次点、そして初場所は決定戦を制して12勝での優勝。過去の昇進例と比べて星数が多いといえず、一人横綱だった照ノ富士の引退や10月のロンドン公演などの状況が〝追い風〟になったと見られかねない。
土俵で強さを発揮できなければ、「時期尚早だったのでは」との声が出てきてしまうだろう。過去優勝2回の25歳は自覚の表れか、珍しく目標を「2桁優勝」と明言した。
「どんな横綱になりたいか」との質問には「まだ考えていなかった。しっかりちゃんとしている横綱になりたいです」。「第74代横綱豊昇龍」を作り上げていく新たな日々が始まった。(宝田将志)