岡山 吉備中央町 PFAS検出で住民などの血液検査結果を公表 | NHK

一部の物質に有害性が指摘される有機フッ素化合物のPFASが、岡山県吉備中央町の浄水場の水から極めて高い濃度で検出された問題で、町は28日、公費で行った初めての血液検査の結果を公表しました。

血液中の濃度は、検査をした700人余りの平均で、アメリカで健康リスクが高まるとされている値の7.5倍余りとなりました。

吉備中央町の円城浄水場では、2023年、一部に有害性が指摘される有機フッ素化合物のPFASが極めて高い濃度で検出されていたことが発覚し、町は2024年11月から12月にかけて、住民などの希望者を対象に公費による血液検査を初めて実施しました。検査を受けたのは2歳から102歳までの709人で、町によりますと、多くの種類があるPFASのうち有害性が指摘されるPFOAやPFOSを含む7種類について調べた結果、血液中の濃度は、7種類の合計で平均1ミリリットルあたり151.5ナノグラムでした。これは、アメリカの学術機関が健康リスクが高まると指摘する1ミリリットルあたり20ナノグラムの濃度の7.5倍余りで、検査を受けた人の9割近くがこの値以上だったということです。PFASのうち、WHO=世界保健機関のがん研究機関が「発がん性がある」としているPFOAの、血液中の濃度が最も高かった人は、1ミリリットルあたり718.8ナノグラムでした。町によりますと、個別の検査結果は27日に郵送されたということで、町は住民説明会を2月16日に実施する予定です。

町の委託を受けて分析にあたった岡山大学大学院の頼藤貴志教授は「予想されたとおりの高い結果だ。今後は、町が追跡調査で濃度の減少を確認することと、健康面でのフォローの継続が重要で、住民の方は定期的に検診を受け、症状があれば医療機関を受診してほしい」とコメントしています。

人工的に作られた有機フッ素化合物のPFASは、1万種類以上存在するとされ、一部に有害性が指摘されていることから、現在、世界中で健康への影響について研究が進められています。このうちドイツでは、国の機関が血液中の濃度の指針となる値を定めていて、PFASのうち、▽PFOSについて、1ミリリットルあたり20ナノグラム▽PFOAについては、1ミリリットルあたり10ナノグラムとしています。また、アメリカの学術機関は、PFASのうち7種類の合計について、血液中の濃度が1ミリリットルあたり20ナノグラムを超えると健康リスクが高まるとして、「脂質異常症」や「腎臓がん」「乳児・胎児の発育の低下」などとの関連を指摘しています。一方、日本では水道水などの水質については暫定的な目標値が示されていますが、血液中の濃度については、指針となる値などは設けられていません。

これについて、国が発表した専門家による会議の資料では「現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるかは明らかになっておらず、血中濃度の基準を定めることも、血液検査の結果のみをもって健康影響を把握することも困難なのが現状だ」などとしています。

結果について岡山県吉備中央町の山本雅則町長は「住民の心配は大変大きいと思うが、公費で血液検査を行った決断は間違ってなかった。しっかり支えて寄り添い、不安の解消に努めたい」と話していました。

青木官房副長官は、記者会見で「現時点の知見では、どの程度の血中濃度で、どのような健康影響が生じるかは明らかになっておらず、血液検査の結果のみをもって健康への影響を把握することは困難とされている。環境省も自治体が行う血液検査に対し、支援を行うことは考えていない」と述べました。

そのうえで「水道水中のPFOSやPFOAについて暫定目標値を定め、超過することがないよう地方自治体が水道事業者などを指導している。政府としては、関係省庁が連携して国民の安全・安心のために必要な対策をしっかりと進めていく」と述べました。

ページの先頭へ戻る

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *