死刑判決の被告が自ら控訴取り下げ、過去にも 無効の主張は可能

事件で自身も重いやけどを負い、一時は生死の境をさまよった青葉真司被告=京都市伏見区で2020年5月27日午前8時9分、藤井達也撮影 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(46)が控訴を取り下げたことが明らかになった。1審では求刑通り死刑が言い渡され、2審でも刑事責任能力の有無や程度が争点になる見通しだった。控訴は被告本人が取り下げることが可能で、死刑が確定した。27日付。 死刑判決を受けた被告が自ら控訴を取り下げることは過去の事件でもあった。ただ、取り下げの有効性を弁護人が争い、1審判決から死刑確定まで2年半以上を要したケースもある。 Advertisement 刑事訴訟法は、被告が控訴を取り下げられると規定。いったん取り下げれば、さらなる控訴はできず、判決が確定する。 一方、法律に明確な規定はないものの、弁護人は取り下げの無効を主張できる。死刑判決を巡っては1995年、最高裁が取り下げを無効とした例がある。神奈川県藤沢市などで女子高校生やその母親ら5人を殺害した藤間静波元死刑囚(2007年に執行)の控訴取り下げについて、死刑判決の衝撃で自己の権利を守る能力を著しく制限されていたと判断し、公判が再開された。 しかし、取り下げが無効と認められるのはまれだ。大阪府寝屋川市で中学1年の男女2人が殺害された事件では、1審判決(18年12月)で死刑を言い渡された山田浩二死刑囚が19年5月に控訴を取り下げた。弁護人の申し立てを受けた大阪高裁は同年12月、「死刑確定を明確に意識していなかった疑いがある」といったんは取り下げを無効と判断したが、検察側の申し立てにより高裁の別の裁判官が審理を差し戻した。その後、死刑囚が2度目の控訴取り下げをしたことから、最終的に最高裁で21年8月、取り下げは有効だとして死刑が確定した。 16年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件では、1審(20年3月)で死刑判決を受けた植松聖死刑囚が控訴を取り下げた。弁護人が取り下げは無効だと主張して最高裁まで争ったが、22年12月に有効との判断が確定している。【高良駿輔】

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京アニ事件遺族ら「安堵」 治療の医師「彼の言葉で…」 死刑確定へ

有料記事 事件前、防犯カメラに映る青葉真司被告=2019年7月16日午後2時ごろ、京都府宇治市、住民提供 「人命の尊さを全く顧みず、36人の生命を奪い、34人を死の危険にさらした罪責は極めて重い」――。極刑を言い渡された日から約1年。京都アニメーション放火殺人事件の青葉真司被告(46)が27日、控訴を自ら取り下げた。死刑判決が確定する。突然の知らせに、家族や友を失った人からは戸惑いの声も上がった。 京アニ放火殺人、青葉真司被告が控訴取り下げ 死刑判決確定へ 「青葉被告が控訴を取り下げた」。事件で京アニ社員だった家族を亡くした男性には28日午後3時半ごろ、検察から電話があったという。 「今は安堵(あんど)している。一番重い刑が確定すれば、亡くなった家族は納得してくれると思う」と語った。 入社したばかりだった孫の大… この記事は有料記事です。残り2339文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 2019年7月18日、京都市の京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡しました。京都地裁は2024年、青葉真司被告に死刑判決を言い渡しました。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]

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スマイリーキクチ 給食〝まかない〟処分に嘆き「今は優しさより厳しさが求められる時代」(東スポWEB) – Yahoo!ニュース

スマイリーキクチ タレントのスマイリーキクチが28日、X(旧ツイッター)を更新。京都市の小学校で給食の余りをまかないにしていた調理員が懲戒処分になった件に言及した。 京都市教育委員会は市立小学校の給食調理員2人を減給(平均賃金の半日分)の懲戒処分にしたと発表。2人は給食で使う食材で余った分を本来なら適切に廃棄しなければならないにもかかわらず、おにぎりや唐揚げなどまかないとして調理。教職員らにもふるまっていた。2人は「廃棄するのはもったいない」「遅くまで働く教職員に何かできないかと思った」と動機を話しているという。 SNSでは「悪いとは思えない」「普通に考えて駄目」と議論となっていた。キクチは「余った給食をシェアする。昔だったら問題児すらならなかったと思う」(原文ママ)と、現代だからこその処分と分析した。 続けて、「昭和なら賞賛、平成なら感謝、令和は処分。今は優しさより厳しさが求められる時代になった」と嘆いた。 東スポWEB 東スポWEB

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京アニ放火殺人事件 青葉真司被告の死刑確定 控訴取り下げで

事件で自身も重いやけどを負い、一時は生死の境をさまよった青葉真司被告=京都市伏見区で2020年5月27日午前8時9分、藤井達也撮影 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(46)が控訴を取り下げたことが明らかになった。1審では求刑通り死刑が言い渡され、2審でも刑事責任能力の有無や程度が争点になる見通しだった。控訴は被告本人が取り下げることが可能で、死刑が確定した。27日付。 一方、被告の弁護人が取り下げの効力について、無効だと訴える可能性は残されている。 平成以降で最多の犠牲者を出した放火殺人事件だった。被告も重度のやけどを負い、約10カ月にわたる入院治療や手術を経て回復し、1審・京都地裁の法廷に車椅子に乗せられたまま出廷した。 Advertisement 被告は23年9月の初公判で「当時はこうするしかなかった」と述べ、起訴内容を全て認めた。弁護側は被告には精神障害による妄想があり、刑事責任を問えない状態だったとして無罪を主張していた。 これに対し、24年1月の判決は、被告が京アニのコンクールに応募した小説を盗用されたと思い込み、一方的な恨みを募らせたと認定。事件直前の行動は合理的だったとして刑事責任能力に問題はないとし、「残虐非道な犯行で死刑を回避する余地はない」と結論付けた。 被告や弁護人は1審判決を不服として大阪高裁に控訴。弁護側は24年9月、控訴審でも刑事責任能力を争う方針を示す書面を高裁に提出していた。控訴審の日程はまだ決まっていなかったが、今月27日付で被告本人が控訴を取り下げたという。これを受け、高裁は刑事裁判を終結したと明らかにした。 1審の被告人質問などで被告は「こんなにたくさんの人が亡くなると思わなかった。現在ではやり過ぎたと思っています」と言及。公判終盤では法廷に立った遺族からの質問に「申し訳ないと思います」と謝罪していた。 1審判決によると、被告は19年7月18日午前10時半ごろ、京アニ第1スタジオ(京都市伏見区)にガソリンをまいて火を放ち、社員ら36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた。【木島諒子】

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DeepSeek chaos shows ‘America First’ doesn’t always win. It may embolden Trump anyway | CNN Business

CNN —  The stunning rise of DeepSeek is sending shockwaves through the artificial intelligence world, threatening America’s dominance that seemed set in stone just a week ago. The fact that a…

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週刊文春 中居氏と女性のトラブル当日の会食 記事訂正しおわび | NHK

「週刊文春」は、中居正広氏と女性とのトラブルが起きた当日の会食について、女性はフジテレビの幹部社員に誘われたなどと報じていましたが、その後の取材で女性は中居氏に誘われたことがわかったなどとして、おわびして訂正しました。 「週刊文春」は、先月26日、おととし、中居氏と女性との間でトラブルがあり、その後、解決金を支払ったとする記事を掲載しました。この中では、トラブルがあった当日の会食について、▼中居氏を含む大人数で食事をしようと誘われ、フジテレビの幹部社員に言われたからには断れないと参加した、▼直前になって女性と中居氏を除く全員が行けなくなり、密室で2人きりにさせられたなどとする知人の証言を報じました。これについて週刊文春は、28日、電子版の記事の冒頭で、その後の取材で▼女性は中居氏に誘われ、▼幹部がセッティングしている会の“延長”と認識していたことがわかったとしておわびし、訂正しました。この訂正について週刊文春は、その後、ホームページでも掲載し「直前に幹部は女性を中居氏宅でのバーベキューに連れて行くなどしています。幹部がトラブルに関与した事実は変わらないと考えています」などとするコメントを出しました。 社員の関与についてフジテレビは先月、ホームページで「記事中の食事会に関しても、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません」などとするコメントを発表したほか、27日の記者会見でも改めて関与を否定していました。 これについてフジテレビは「弊社は記事が掲載された当初より一貫して『事案が起きたとされる食事会に関して、当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません。会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません』と主張し、発行元に対してもその旨伝えておりました。今後は、第三者委員会の調査に委ねてまいります」とコメントしています。 メディア論が専門の立教大学の砂川浩慶教授は、週刊文春の訂正について、「影響が非常に大きいからこそ訂正するべきだと思う。ほおかぶりしたまま、今後の報道が続くと、さらにうそを重ねるということになってしまう。大きな社会的な関心があるからこそ、過ちは過ちと認めないと、どんどん間違った方向へいってしまうので、訂正したこと自体はいいことだと思う」と話しました。 また、週刊文春の記事をほかのメディアが引用して報道していたことについて「慎重にしなければいけないというある種の警告になるとは思う。SNSが普及している今、既存のメディアが報じたものは事実として拡散していくので、事実に基づかないものを報じることの影響は大きく、従来にも増して事実確認が求められる」と指摘しました。

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AI産業の競争構図が変わるか 中国「ディープシーク」が与えた衝撃

有料記事 サンフランシスコ=五十嵐大介 奈良部健 スマホの画面に映し出されたディープシーク(左)とチャットGPTのアイコン=AP 低コストで高性能の人工知能(AI)を開発した中国企業「ディープシーク」の技術に、米シリコンバレーではショックが広がる。巨額の投資で性能向上を競ってきたAI産業。その前提が変われば、米中の競争の構図にも影響を与えうる。 ディープシーク、低価格で開発できた理由 識者「学習方法にセンス」 少数精鋭、AI企業ディープシーク 「中国化」した開発で高性能 「AIのスプートニク・モーメントだ」。米著名投資家マーク・アンドリーセン氏は26日、X(旧ツイッター)にそう投稿した。東西冷戦下で旧ソ連が世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げ、米国に衝撃が広がった歴史と重ねた。 ディープシークが昨年末に公開したAIモデル「V3」の論文によると、コーディングや数学の一部の指標で、オープンAIが昨年公開した「GPT4」の性能を上回ったという。米国のアップルのアプリ配信ストア「アップストア」では、27日時点でディープシークが無料アプリのダウンロード回数で対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を抜いて首位となった。 特に驚きをもって受け止めら… この記事は有料記事です。残り496文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません この記事を書いた人 五十嵐大介 サンフランシスコ支局長兼編集委員 フォロー 専門・関心分野 テクノロジー、経済、グローバリゼーション

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フジテレビ10時間超え会見 中居正広氏とフジ社員の関係は? 「週刊文春」は記事を一部訂正|日テレNEWS NNN

2025年1月28日 20:22 10時間以上も行われたフジテレビの会見。中居さんと社員との関係で新たにわかったこともありました。一方、発端となった記事を出した「週刊文春」は、28日までに記事の内容を一部訂正しました。 ◇ 28日からフジテレビの舵取りを担う清水新社長。 フジテレビ 清水賢治新社長(28日午前9時ごろ)「一刻も早い信頼回復。それが私に与えられた責務だと思っています。10時間という長い時間になってしまいましたが、今できること、今言えることについてはお伝えしたと思います」191媒体437人が参加し、10時間を超えた長時間会見。フジテレビ 港浩一前社長(27日午後) 「本件は人権侵害が行われた可能性のある事案であります」“一連の報道”をめぐり、フジ側が初めて詳細を明かしました。 発端は、去年12月の週刊誌報道です。週刊誌によると、2023年6月に行われた会食で中居正広さんと女性との間でトラブルが発生。この会食にフジテレビ「社員A」が関わっていたと報じられていました。フジテレビはその後、「当該社員は関わっていない」と関与を否定。今回の会見でも… フジテレビ 港浩一前社長「本人へのヒアリングや通信履歴の確認。限定的な日付の出来事に対してAは関与していないと」「社員A」の関与は改めて否定しました。ただ会見では「社員A」について次のように強調。フジテレビ 港浩一前社長「A氏が関与していなかったと私どもが言っているのは、特定日の限定であるとご理解ください。その日付に関してAは関与してない」 というのも「社員A」については“トラブル”とは別の日の出来事が明らかに。 “トラブル”の前の月にあたる2023年5月。中居さんのマンションで10人ほどが参加するバーベキューがあり、女性は「社員A」に声をかけられ参加していたということです。フジテレビ 港浩一前社長「特定日のトラブルの伏線になるのがバーベキューパーティーだったのかどうかは、私にはわからない」 ◇ こうした中、週刊文春は“トラブル”が起きた日の食事会について当初、女性が「A氏に誘われた」としていましたが、その後「中居氏に誘われた」に記事の内容を修正していて、28日に「お詫びした上で記事を修正した」とコメントを発表しました。 週刊文春「女性が取材に対して『(事件は)Aさんがセッティングしている会の“延長”だったことは間違いありません』と証言しています。A氏がトラブルに関与した事実は変わらないと考えています」 ◇会見では“トラブル”から報道が出るまでの“フジテレビの対応”についても詳細が語られました。トラブル直後の2023年6月中に事態を把握していたというフジテレビ。報告は、港前社長まで上がっていたといいますが…フジテレビ 港浩一前社長 「私のところに報告が上がったのは2か月弱後です」 また中居さんからはトラブルの翌月に連絡があったことも明らかに。ただ女性と異なる認識を持っていて、示談の情報もあったことなどからフジテレビは調査を躊躇(ちゅうちょ)したとしています。トラブル把握後も中居さんの番組起用を続けたフジテレビ。起用を続けた理由は…フジテレビ 港浩一前社長 「彼女のコンディションの問題。そして、どんなやり方が刺激になってしまうのか、去年の夏以降、それくらいのタイミングから前に進めることができるようになりました」 “番組打ち切り”については去年夏以降、本格的に動き出し、去年11月に中居さんに伝えたといいます。そしてフジテレビは週刊誌報道後、中居さんに2回、ヒアリングを行ったということです。自らの口で詳細を語ることのないまま芸能界を引退した中居さんについて、港前社長は…フジテレビ 港浩一前社長「私も“怒り”という言葉でいいと思います。それは感じました。細かいことはわかっていませんが、基本的に怒りを感じながらやっていました」 ◇ 異例の10時間超えとなったフジテレビの会見。日付をまたいでも終わることはなく、会見は質問が途切れるまで続きました。 フジテレビ現役社員は会見をどう見たのか。フジテレビ現役社員「社員の雰囲気は今二分している。この会見で世の中に許してもらえるか、許してもらえないか、どちらかと言われれば許してはもらえないと思う」 フジテレビ親会社の社外取締役7人は、フジテレビと親会社に対し、意見書を提出。今後の経営陣の人選に当たり、信頼回復を実現できる人材を選ぶことなどを求めています。 最終更新日:2025年1月28日 20:22

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【すき家】2月4日(火)より「すき家」とアニメ「ハイキュー‼」のコラボキャンペーンを開催!対象メニューを注文するとオリジナルカードが必ずもらえるなど、企画が盛り沢山!

今回のキャンペーンでは、すき家のメニューをおいしそうに食べているオリジナルビジュアルのキャラクターが登場します。対象メニューのご注文で「オリジナルカード」がもらえるキャンペーンのほか、「ねんどろいどハイキュー!!」と限定のオリジナルグッズが当たるWEB抽選、オリジナルおもちゃがもらえる「すきすきセット」の販売を行います。さらに、キャラクターによるオリジナル店内放送や、2店舗限定の特別装飾、すき家公式Xにおけるキャンペーンを実施するなど、様々な企画でキャンペーンを盛り上げます。 【キャンペーン概要】 開催期間:2月4日(火)AM9:00 ~ 3月25日(火)AM8:00 対象店舗:全国のすき家1,963店(1月28日時点) 詳細は、キャンペーン特設サイト(https://www.sukiya.jp/haikyu2025/)でもご覧いただけます。 ※すきすきセットの終了時期は異なります。 ☆★対象メニューを食べてオリジナルカードがもらえる!★☆ 対象メニュー1品のご注文につき、オリジナルカードを1枚プレゼントします。 オリジナルカードは第1弾が全10種類、第2弾が全10種類の全20種類をご用意しています。 【キャンペーン期間】 ・第1弾:2月4日(火)AM9:00 ~ 2月26日(水)AM8:00 オリジナルカード全10種類 ・第2弾:2月26日(水)AM9:00 ~ 3月25日(火)AM8:00 オリジナルカード全10種類 【対象商品】 ①ビビンバ牛丼 各種 「おんたま黒ビビンバ牛丼」、「おんたまビビンバ牛丼」、「黒ビビンバ牛丼」、「ビビンバ牛丼」 ②お好きなメインメニュー+「とん汁おしんこセット」 ※「ビビンバ牛丼 各種」と「とん汁おしんこセット」をあわせてご注文の場合は、カードを2枚プレゼントします。 ※各弾なくなり次第終了します。 ※カードの種類はお選びいただけません。 ※対象商品は追加・変更になる場合があります。…

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開発費はChatGPTの100分の1、中華製AI「DeepSeek」はエヌビディアを駆逐するほどすごいのか、東大入試問題を解かせてみた(東洋経済オンライン) – Yahoo!ニュース

世界を驚愕させているDeepSeeekとはいったいどんなAIなのか(画像:DeepSeek) 創業からわずか1年余りの中国AI企業「DeepSeek(ディープシーク)」がアメリカの株式市場を大きく揺るがせた。 【この記事の他の画像を見る】 ここ数年、生成AIブームの象徴と見られたNVIDIA(エヌビディア)の株価は1月27日に17%安と急落。これに引きずられるようにハイテク株中心のナスダック総合指数は3%以上も下落。翌日の日経平均株価も548円安になるなど影響は広がった。 ■アメリカ製の「100分の1」の開発費 それまで無名だったDeepSeekの何がそれほどの破壊力を生み出したのか? それはChatGPTなどアメリカ製AIに匹敵する高性能AIを、アメリカ製品のわずか「100分の1」程度の開発費で作り上げてしまう並外れた技術力である。 ChatGPTなどアメリカ製AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の開発には、エヌビディアの「H100」など先端GPUを最低でも何万個と購入し、これらを使ってLLMをトレーニング(機械学習)する必要がある。それによる開発費は数億ドル(数百億円)〜10億ドル(約1500億円)に上ると見られている。 これに対しDeepSeekは同じくエヌビディア製の「H800」と呼ばれる格落ちのGPUをわずか2048個使っただけで、OpenAI製の「GPT-4o」や「o1」などトップ製品とほぼ同じ性能のLLMを開発した。 それに要したコストは約560万ドル(約8億7000万円)という。つまりOpenAIなどアメリカ勢よりも、ほぼ2桁小さい開発費で成し遂げたことになる。 これほど高度の技術力を誇るDeepSeekとはいったいどんな会社なのか? 創業したのは、中国のクォンツ・ヘッジファンド「High-Flyer Quant」の創業者でもある梁文峰(リャン・ウェンフェン)氏だ。彼はヘッジファンドの資金運用を高速・高精度に行う投資AI技術を開発するため、2023年にHigh-Flyer Quant傘下の研究機関としてDeepSeekを設立した。 Page 2 ほかにも、DeepSeekは「Knowledge Distillation(知識蒸留)」と呼ばれる手法を採用することで開発コストを抑えている。これはOpenAIのGPT-4oなど同業他社の大規模言語モデルを言わば「教師役」として使い、その膨大な知識やパラメーター(AIの基本的性能を決める変数)をDeepSeekのような「生徒役」が直に受け継ぐことによって、より高速かつ効率的にAI製品を開発する手法だ。 ■東大入試の数学問題を解かせてみたら… これらの創意工夫によって開発されたチャットボット「DeepSeek」(社名と製品名が同じ)は昨年12月と今月、それぞれ汎用型の「V3」と推論型の「R1」という個別のバージョン名でリリースされたが間もなく一体化された。この統合版DeepSeekの入出力画面はOpenAIのChatGPTとよく似ている。 DeepSeekの推論型モデルR1は、ChatGPTの推論型モデル「o1」とほぼ同等の高い思考力を持つと言われる。試しに筆者が2024年度の東京大学・入試問題・数学理系の第2問(図2)をDeepSeekに入力して解かせたところ見事に正解を返した(図3)。 ただし同入試問題の全6問(各々、複数の小問を含む)をDeepSeekに解かせてみると、全体の正解率は30%を若干下回る。ちなみにChatGPTの「o1」にもまったく同じ問題を解かせてみたが、正解率は概ね30%だ。両者の性能は同程度とする見方は当たらずとも遠からずという印象を受ける。 かなり高度な性能を有するDeepSeekだが、基本的に有料のChatGPT-4oやo1とは対照的にDeepSeekは無料で使える。このため先日、アメリカではアップルのアップストアで提供されるアプリのダウンロード回数でChatGPTなどを抜いて第1位となった。 ただし一般ユーザーにとって、DeepSeekの利用には警戒が必要との声も聞かれる。昨年から今年にかけてアメリカで政治問題となった中国製アプリ「TikTok」同様、DeepSeekを利用したユーザーの個人情報が同社のような中国企業を経由して、中国政府の手に渡る危険性が指摘されているからだ。 これはアメリカのみならず、日本をはじめ自由主義諸国のユーザー全体について当てはまるが、少なくともアメリカではDeepSeekアプリがアップストアで第1位にランクされたことから見て、ユーザーの大半はほとんど気にしていないようだ。 Page 3 かつて中国浙江省の名門、浙江大学でコンピュータ科学を専攻した梁氏はDeepSeekの設立に際して、北京大学、精華大学、北京航空工科大学など中国のエリート校からコンピュータ科学等の博士号取得者を次々と採用し、生成AIのベースとなる大規模言語モデル(LLM)の開発に当たらせた。 ■中国国内でAI技術力を養う これらの博士研究者らは、(前出の)中国国内の大学で高度なAI技術力を養った。…

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