息遣いと声援 | 中国新聞デジタル

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広島住まいの冥利(みょうり)だろう。各世代のトップランナーたちをじかに見ようと沿道に立った。時速およそ20キロだから通過はあっという間。その一瞬に選手の息遣いと、観衆の声援が交錯する。胸の奥がじんと熱くなった▲ひろしま男子駅伝はきのう第30回の節目を迎えた。本命の重圧をはねのけて4連覇を飾った長野、粘り強い追い上げで4位入賞した地元広島など見どころは十分。天の祝福のような快晴の下、駅伝の妙味を堪能できた▲30回のうち号砲が鳴らなかったレースが2回ある。コロナ禍のさなかだ。ミスター男子駅伝と呼ばれた中国電力の岡本直己さんも嘆いていた。「ジョギング中に吐く息が、擦れ違う人に迷惑がられる。ランナーとしてこれほどつらいことはない」と▲感染対策で声出し応援の自粛が求められた年もある。きのうは先頭にも地元選手にも最下位ランナーにも同じ声量の「頑張れ」と拍手が注がれた。未曽有の疫病を乗り越え、広島の沿道は温かみを増したように感じる▲中止の2年で実力のピークが過ぎ、「幻の代表」となる選手がいるかもしれない。安芸路の冬の風物詩が40、50回と連なる未来を祈りつつ、大会史の空白も語り継ぎたい。

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