中日からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた小笠原慎之介投手(27)のナショナルズ入りが24日(日本時間25日)、発表された。背番号は16。既にメジャー40人枠に登録された。2年契約で、AP通信によると、総額350万ドル(約5億5000万円)。中日への譲渡金は約70万ドル(約1億1000万円)となる見込み。米東部時間24日午後5時(日本時間25日午前7時)の交渉期限ぎりぎりで交渉がまとまり、左腕が夢の舞台へのスタートラインに立った。
25日午前4時ごろ、新たな挑戦の始まりを告げる一報が世界を駆け巡った。「buzzer beaterrrrrrrr」。バスケットボールなどで使われる用語とともにナショナルズ公式Xで伝えられた小笠原の入団。左腕は本紙にコメントを寄せた。
「幼い頃からの夢だったメジャー挑戦を実現できました。感慨深いですし、本当にうれしく思います。18歳でプロに入り、これまで苦しい時期もありましたが応援してくださったファンの方々には感謝しかありません。まだスタートラインに立った段階です。これからメジャーのマウンドに早く立てるように頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いします」
神奈川・東海大相模高から、2016年にドラフト1位で中日入り。ルーキーイヤーから2勝を挙げると、3年目には球団史上最年少で開幕投手を経験。21年からは4年連続で規定投球回をクリアするなど、竜先発陣を引っ張ってきた。9年間で161試合に登板し、46勝65敗、防御率3・62の成績を残した。
小笠原が所属するナショナルズは米国の首都・ワシントンDCを本拠地とし、ナ・リーグ東地区に所属。69年に創設され、04年まで「モントリオール・エクスポズ」の名でカナダのケベック州モントリオールを拠点としていた。移転後の19年に球団史上初のリーグ優勝とワールドシリーズ制覇を成し遂げたが、近年は低迷。20年から4年連続地区最下位で、昨季は71勝91敗で地区4位だった。
エクスポズ時代を含めて過去に所属した日本人選手は伊良部秀輝、吉井理人、大家友和がいるが、いずれも他のメジャー球団を経てからの契約だった。ナショナルズとしては、小笠原が球団史上初めて直接契約を結ぶアジア人選手となる。
中日からポスティングによる米移籍は、03年の大塚晶則(現巡回投手・育成コーチ)以来、2人目だ。ナショナルズは昨季のチーム防御率が30球団中23位の4・30で投手陣は手薄。小笠原の雄飛を日米のファンが待っている。