【日本市況】株式が大幅高、対米AI投資で関連株軒並み高-円は下落

22日の日本市場は株式が大幅上昇。米国株が景気敏感業種や人工知能(AI)関連中心に上昇したことが好感された。円は対ドルで下落している。

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トランプ米大統領はソフトバンクグループとオープンAI、オラクルが主導する人工知能(AI)インフラへの新たな大型投資を発表した。ソフトバンクG株は一時12%上昇し日本株の上げを主導、他のAI関連銘柄も軒並み上昇した。トランプ氏が中国からの全ての輸入品に対する10%の関税賦課を検討していると述べたことを受け、円は1ドル=155円台後半に下落。債券相場は下落(長期金利は上昇)した。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、日本市場はいまAI関連銘柄がすべてだと述べた。テクノロジー株は好調で、トランプ大統領の投資計画発表が当面の投資家心理を押し上げるのではないかという気がすると語る。

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  • 22日の日本市場の株式・為替・債券相場の動き-午後3時半過ぎ東証株価指数(TOPIX)終値は前日比0.9%高の2737.19
  • 日経平均株価は1.6%高の3万9646円25銭
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.2%安の155円90銭
  • 長期国債先物3月物は前日比13銭安の141円02銭
  • 新発10年国債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.195%

株式

日本株はソフトバンクGが関与する数十億ドル規模のAI投資計画をトランプ大統領が発表したことを受けて、チップやデータセンターの需要が増加するとの期待感からハイテク株を中心に上昇した。

オルタス・アドバイザーズのストラテジスト、アンドリュー・ジャクソン氏は、トランプ政権がAIへの投資を優先していることは、日本のAI、半導体関連株にとって大きなプラスだろうと話す。この投資プランは「電線メーカーを含めデータセンターに関するあらゆる株に対してかなり強いゴーサインだ」と述べた。

データセンターのための電線メーカーのフジクラは一時15%以上上昇した。トヨタ自動車、SUBARU(スバル)などの輸出関連銘柄も強かった。T&Dアセットマネジメントの浪岡氏は、トランプ氏は中国への関税を検討していると発表したが、就任演説で即時の関税を一切発表しなかったので、市場に安心感が漂っていると語る。

外国為替

円相場は1ドル=155円台後半に下落。トランプ米大統領の対中関税検討を受けてドル買い・円売りが優勢だった。アジア開発銀行(ADB)の次期総裁で前財務官の神田真人氏が都内で講演し、為替相場が過度な動きやファンダメンタルズ(経済実体)からかい離したら是正が必要と発言し、円が下げ幅を縮小する場面もあった。

SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、対中関税はトランプ大統領が以前から発言していたことで驚きはないが、関税は米インフレにつながるとの連想からドル買いだと指摘。「昨日から発言に対する反応が過剰だが、しばらくは仕方ない」と述べた。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、トランプ政権の政策に対する不透明感に加え、日本銀行の金融政策決定会合を控えドル・円は手掛けづらい通貨ペアになっていると指摘。利上げはほぼ織り込まれているものの、その次の利上げが見定まっておらず、「植田総裁の会見も含めタカ派的な利上げになるかどうかが焦点だ」と述べた。

債券

債券相場は下落。債券相場は前日まで利回り低下(相場上昇)が進んだ反動で売りが優勢となっている。日銀の国債買い入れオペ結果も弱く、中期債を中心に売りにつながった。

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アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、日銀買い入れの中期ゾーンの応札倍率が上昇し、売りたい向きが多かったとみられ、手前のゾーンの地合いが悪化していると指摘。24日の日銀金融政策決定会合後の植田和男総裁の会見で、次の利上げに向けたタカ派的なメッセージが出ることが警戒されており「ポジションを軽くしておこうとする向きがいるようだ」と述べた。

日銀が今週の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの観測が強く、金融市場(OIS)は9割以上の確率で織り込んでいる。

新発国債利回り(午後3時時点)

 2年債5年債10年債20年債30年債40年債 0.690%0.870%1.195%1.890%2.250%2.665%前日比+2.0bp+2.5bp+1.0bp-0.5bp-0.5bp-1.5bp関連記事日銀が今週の決定会合で利上げへ、トランプ氏就任後に市場混乱なく

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

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