大ヒット間違いナシ!──新型スズキ・ジムニーノマド詳報

待ちに待った! という人も多いであろう5ドア版のジムニーノマドが2025年1月30日に発表された。ホイールベースを延ばすとともに、室内は上質さが追求されたモデルだ。

“遊牧民”を意味するというノマドなるサブネームをもった今回のジムニー。既存のジムニーシエラの2250mmのホイールベースを340mm延長して2590mのロングホイールベースを実現している。

ボディカラーのうちモノトーンは、「セレスティアルブルーパールメタリック」、「ジャングルグリーン2」、 「アークティックホワイトパール」、「ブルーイッシュブラックパール4」の4色を設定。

Hiromitsu Yasui

ジムニーシリーズの特⻑であるラダーフレームをジムニーノマド用に新作し、優れた悪路走破性を継承。

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前輪と後輪をシンプルな構造で直結するパートタイム4WDを採用し。これにより、前輪か後輪のどちらかが空転しても駆動力を確保する。

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全長3890mmのボディを、シエラとプロファイル(側面図)で見くらべると、前席から前は同じに見えるものの、実はドアの前後長は短縮されているなど、フロントスカットルより後ろは新設計。荷室の前後長は350mm長くなり、容量は211Lから332Lへ拡大している。

外観上は、ガンメタルの基本色にクロームで縁取りした5スロットグリルが用意され、「シズリングレッドメタリック」(赤)と「セレスティアルブルーパールメタリック」(青)の専用色が設定。車体色は6色ラインナップする。

前後バンパー下部を切り上げた形状とすることで、悪路での走破性を高めた。

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ジムニーシリーズの特徴であるオフロードなど過酷な環境下での運転のしやすさや各部の操作性にこだわった、機能に徹したデザインを継承。

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シエラは2プラス2というパッケージだったが、ノマドはフル4シーター。タイヤハウスが後席空間へと突出するのも極力抑え、意外ともいえるほどの広々感が生まれている。

実際、身長175cmの人間もふたり並んで、後席に余裕で座っていられる。後席シートのバックレストはリクライニングも可能。短い距離の移動だったけれど、筆者には大変快適だった。

高速道路での運転をサポートする、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を4AT車に標準装備。

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軽量・コンパクトな設計を実現し、燃費性能にも優れたK15B型エンジンを搭載。1.5リッターの排気量によって高い出力とトルクを発揮する。

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衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」を標準装備。

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車内では、後席から荷室にかけて、シエラでは外板むきだしだったものを、ノマドはトリムを装備。後席乗員の着座を前提としている。後席用シートも、大型化するとともに、クッションの厚みを増した。

「『ジムニーに5ドア版が欲しい!』という声は、以前からずっと寄せられていて、社内でもつねに検討課題でした」

スズキの商品企画本部の佐々木貴光チーフエンジニアは語る。

後席ヒップポイントを20mm高くし、シートクッション厚を確保するなど、快適な乗り心地や座り心地を実現。

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ホイールベースの延⻑に伴い、4名乗車時の荷室床面⻑をジムニーシエラに対し350mm拡大。

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荷室にもサイドウインドウを装備。

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ラゲッジは荷物の滑りにくいカーペットを採用。

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「向上させるところと、守るべきところを明確にしました」

悪路走破性、頑丈なフレーム付き車体、見切りのよいボディデザイン、無駄のない機能美デザインといったシエラの特徴は継続し、後席の高い乗降性、乗り心地、居住性、さらに室内と荷室の拡大という“価値”を加えたのが、ノマドだ。

ステアリングは本革巻き。

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立方体のクラスターに必要計器をシンプルに収納。いつでも高い視認性を確保できる常時照明を採用するとともに、マルチインフォメーションディスプレイをセンターに配置した。

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前席はシートヒーターも装備。

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実際は角断面フレームを一部新設計したり、プロペラシャフトを伸ばしたり、補強のためのクロスメンバーを追加したり、上記の通り、ジムニーが誇る走行性能をこれまでとおなじレベルで実現するための努力があらゆるところでみられる。

エンジンは、シエラと同様、75kWの最高出力と130Nmの最大トルクを発生する1460cc4気筒ガソリン。4段オートマチックと5段マニュアル変速機が選べる。

トランスミッションは5MTと4ATを用意。

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2H(2WD)、4H(4WD高速)、4L(4WD低速)のモードを切り替えtられる副変速機も装備。2H⇄4H⇄4Lの切り替えをダイレクトな操作感があるトランスファーレバーで行える。

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フロントコンソールボックスにドライバー用の後席パワーウインドウスイッチを追加。パーキングブレーキは手引き式だ。

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なおノマドのポジションとして、「都会派オフローダーを求める声に応えた」(スズキの資料)として開発された「エスクードノマド」(1990年)を受け継ぐ意味も込めているという。

つまり、新型ジムニーノマドはエスクードの後継車的存在でもあるのだ。

ギャラリー:大ヒット間違いナシ!──新型スズキ・ジムニーノマド詳報

59 Photos

By 小川フミオ

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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