レバレッジを効かせた売買を行っていた米投資家は、27日のハイテク株とそれに関連する上場投資信託(ETF)の急落で目を疑うような損失を被ったが、欧州でもっとひどい目に遭ったトレーダーがいたことを知れば、いくらか慰めになるかもしれない。
中国のスタートアップ企業DeepSeek(ディープシーク)の人工知能(AI)モデル台頭に対する不安を引き金に世界的に株式が売られる中、ロンドン上場の「レバレッジ・シェアーズ3倍エヌビディアETP」はこの日、取引停止になる前に52%下落。運用資産1億7200万ドル(約270億円)の半分強が吹き飛んだ。
この商品は、エヌビディア株の3倍のデーリーリターンを提供する仕組みであるiストックス・レバレッジ3倍NVDA指数に連動するよう設計されている。この日の下げで、「グラニトシェアーズ2倍ロングNVDA・デイリーETF」(ティッカー:NVDL)などレバレッジ2倍の米単一銘柄ファンドさえも上回る資産消失に見舞われた。NVDL価格は34%下げた。
週末にアップルの「アップストア」のアプリランキングでディープシークが首位に躍り出たことをきっかけに、AI関連銘柄を中心に世界的に株価が下落し、あらゆる種類のレバレッジ商品がそのあおりを受けた。ディープシークのモデルはオープンAIなど運用コストの高い米企業のAI製品にとって脅威となるとアナリストは指摘する。
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欧州では、1日に原資産の5倍のリターンを提供する商品など高レバレッジ商品を投資家が利用できる。一方、米国では、レバレッジ3倍のETFも幾つか存在するが、単一銘柄対象ETFではレバレッジ2倍が上限だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアタナシオス・プサロファギス氏はレバレッジ・シェアーズ3倍の下落について、いかに「集中がもろ刃の剣になり得る」かを示していると指摘。「これまで順調だったが、こうした特異な日もあるだろう」と語った。
一方、エヌビディア株パフォーマンスの逆方向に3倍のレバレッジをかける「レバレッジ・シェアーズマイナス3倍ショート・エヌビディア」は58%上昇した。ただ運用資産ははるかに小さく、この日の取引開始時点で600万ドル未満だった。
原題:Triple-Levered Nvidia Traders Are Gutpunched by 52% One-Day Loss(抜粋)