アカデミー賞候補に日本から3作品 伊藤詩織さん監督作品など | NHK

アメリカ映画界で最高の栄誉とされるアカデミー賞の各賞の候補が発表され、ジャーナリストの伊藤詩織さんが監督を務めた「Black Box Diaries」が長編ドキュメンタリー賞の候補になるなど日本から3つの作品がノミネートされました。

第97回アカデミー賞のノミネート作品の発表は、7日に発生していまも消火活動が続くロサンゼルス近郊の一連の山火事の影響を受けて2度延期され、23日に行われました。このうち長編ドキュメンタリー賞には、ジャーナリストの伊藤詩織さんが監督し、性的暴行をめぐる自らの体験とその後の裁判を通じて日本の司法制度のあり方を問うた「Black Box Diaries」がノミネートされました。また短編ドキュメンタリー賞の候補に山崎エマ監督の日本の小学校を舞台にしたドキュメンタリー映画「Instruments of a Beating Heart」が選ばれました。そして短編アニメーション賞の候補に西尾大介さんが監督したフルCGのアニメーション作品「あめだま」が選ばれました。

第97回アカデミー賞の授賞式は3月2日にロサンゼルスで行われます。

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた「Black Box Diaries」はジャーナリストの伊藤詩織さんが初めて監督を務めたドキュメンタリー映画です。伊藤さんがテレビ局の元記者に性的暴行を受けたとして訴えた民事裁判では性行為に同意がなかったと認められた一方で、元記者は刑事手続きでは不起訴処分となっていて、みずからが関係者に取材を重ね、真相に迫ろうとした作品で、日本の司法制度のあり方を問う内容となっています。この映画をめぐっては伊藤さんの元代理人が「裁判以外では使わないとして提供を受けた現場となったホテルの防犯カメラの映像を使用しており、問題がある」と主張しています。

これに対し伊藤さん側は「映像はそのまま使用したものではなく、プライバシーに配慮し、CGで加工したものだ」などと説明しています。

アカデミー賞の短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた山崎エマ監督の「Instruments of a Beating Heart」は日本の小学校を舞台にしたドキュメンタリー映画です。日本の公立小学校に密着取材し、学校行事に対して一生懸命に取り組むなど生き生きと学校生活を送る子どもたちや、教師たちの様子を映像に収めた作品です。

山崎監督は大阪の小学校を卒業後、中学・高校はインターナショナルスクールに通い、アメリカの大学に進学。自身の強みの「助け合い」の精神は日本の小学校ならではの経験に由来するのではないかと考え、製作したということです。

アカデミー賞の短編アニメーション賞にノミネートされた西尾大介監督の「あめだま」は韓国の絵本作家、ペク・ヒナさんの作品を原作にした20分ほどのフルCGのアニメーション作品です。自分の気持ちを表現するのが苦手で、いつも1人、公園でビー玉遊びをしている少年が不思議なあめ玉を食べたことで、周囲の人や物の心の声が聞こえるようになり、成長していく姿が、かわいらしい独特なタッチの絵柄で描かれます。

西尾さんは「ドラゴンボールZ」や「ゲゲゲの鬼太郎」など数多くの人気アニメのシリーズディレクターを務めてきた監督として知られています。

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